
食品工場 ここだけはおさえて
食品工場の設計は、生産性を高めるだけでなく、衛生管理や法令遵守を確実にするためにも非常に重要です。ここでは、食品工場設計の際に押さえておきたい主なポイントをいくつかご紹介します。
1. ゾーニング設計
ゾーニング設計は、食品の安全性を確保するための基盤となります。清潔区域の設定では、作業内容に応じて基準を明確にし、必要な面積配分を考慮することが重要です。例えば、加工区域や包装区域を清潔区域として定義し、それぞれの用途に応じて最低限必要な床面積を確保します。また、区域ごとの隔離には仕切り壁や空調システムを活用し、交差汚染を防ぐ設計が求められます。以下の点を考慮してゾーニングを計画しましょう:
清潔区域と汚染区域の明確な区分
— 工場内での交差汚染を防ぐため、作業区域を衛生度に応じて分類し、それぞれの区域を物理的または空間的に分離します。具体的には、清潔区域には加工区域や包装区域を含め、換気システムや加圧空調を導入して外部からの汚染物質の侵入を防ぎます。一方、汚染区域には原材料保管や廃棄物処理エリアを配置し、それらの区域に接触する際にはエアシャワーや衛生管理設備を利用する指針を取り入れます。設計ツールとしては、3DモデリングやCFD(流体力学シミュレーション)を活用してゾーニングの効果を事前にシミュレーションすることが推奨されます。
区域間の動線設計
— 人と物の動線が交差しないように計画することで、汚染リスクを最小限に抑えます。例えば、原料搬入エリアと製品出荷エリアが隣接する場合、適切な壁やバリアで完全に隔離することが重要です。また、従業員の更衣室と清潔区域への入口が遠い場合、交差汚染のリスクが高まるため、これらの距離を最小限にする設計が推奨されます。さらに、清掃機器や廃棄物処理ルートが他の動線と交わらないように専用通路を設けることも有効です。
2. 衛生管理設備の配置
衛生管理設備は、HACCPやISO22000などの国際基準に準拠するために必要不可欠です。
手洗いや消毒設備の設置
— 各作業区域の入口に設置し、作業員が清潔を保てるようにします。
エアシャワーやエアカーテンの導入
— 特に清潔区域への侵入時に外部からの異物や微生物の持ち込みを防ぎます。
排水管理
— 排水の流れが清潔区域から汚染区域へ向かうよう設計することが基本です。
3. 動線計画
動線計画は、効率的な作業を可能にしつつ、衛生リスクを軽減するための重要な要素です。
作業者の動線
— 入退室経路を最適化し、清潔区域を通る際には必ず衛生管理プロセスを経るように設計します。
物品や製品の動線
— 原料から製品までの流れが一方向になるように設計し、逆流を防止します。
4. 異物混入リスクの軽減
食品の品質と安全性を確保するため、異物混入のリスクを最小限に抑える設計が求められます。
建材や仕上げ材の選定
— 防錆性や耐久性に優れた素材を使用し、劣化や破損による異物混入を防ぎます。
天井や配管の設計
— 天井や配管部分に異物が蓄積しないような設計を心がけます。
5. 空調と温度管理
食品工場では温度や湿度の管理が重要です。
空調システムの設計
— 清潔区域では加圧方式を採用し、外部からの汚染物質の侵入を防ぎます。
温度ゾーニング
— 冷蔵・冷凍区域は専用の空間として設け、隣接する区域と温度差を最小限に抑えます。
6. 法令遵守
食品工場の設計では、地域や国の規制、HACCP、ISO22000などの国際基準に準拠する必要があります。
設備配置と動線設計が基準を満たしていることの確認
行政機関への事前相談
— 設計段階で行政機関と連携し、設計が基準に適合しているか確認します。
7. 将来的な拡張性
事業の成長を見据えた柔軟な設計を取り入れることも重要です。
レイアウトの可変性
— 必要に応じて作業エリアを変更可能な構造を採用します。
設備の追加スペース
— 将来的な設備増設に対応できる余裕を持たせます。
まとめ
食品工場設計では、効率性と衛生管理、法令遵守をバランスよく実現することが求められます。創実ファシリティーズ株式会社では、これらのポイントを押さえた最適な設計を提案し、お客様のニーズに応じた工場建設をサポートいたします。お気軽にご相談ください。